Oculus GoでSteamVRを起動してVRChatに入る

概要

Oculus Goと、NVIDIAのグラフィックボードを積んだWindows10のPCで、VRChatにログインする方法を説明する。ALVRというツールを使うことで、Oculus GoをSteamVRのヘッドセットとして認識させることができる。グラフィックボードは、NVENCが動作するGTX600以降が必要。なお現在開発中のツールなので、不具合があったり動作しなかったりするケースもあることはご注意を。

ALVR ClientをOculus Goにインストールする

6/13のアップデートで、Oculusストア経由でのALVRのインストールが可能となった。これにより、Oculus Goを開発者モードにしたり、adbコマンドやコマンドプロンプトからパッケージをインストールしたりする必要がなくなって、かなり導入が簡単になった。基本的な手順は下記の公式ページに書いてある通りだけど、この記事ではandroidの操作画面で説明する。

github.com

(1) スマートフォンでOculus Key配布ページを開く

ALVR Key Distribution

(2) "Get Key"を押してキーを取得し"Copy"を押す

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(3) Oculusアプリを開き、右下の「設定」→「コードを利用」を開く

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(4) 「貼り付け」を押して「送信する」を押す

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(5) アクティブになったALVRコンテンツを押す

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(6) 「インストール」を押すと、端末側でインストールが始まる。

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(7)インストールが終わったら、Oculus Goライブラリの中に「ALVR」アプリが出ているので起動する。

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ALVR ServerをPCにインストールする

PCにSteamVRとVRChatをインストール

SteamゲームプラットフォームのPC向けVRシステムSteamVRと、VRChatをインストールする。

SteamVR

VRChat on Steam

再頒布可能パッケージのインストール

PCで、下記からMicrosoft Visual C++のライブラリをインストールする。vc_redist.x64.exeを入れる。

Download Microsoft Visual C++ 2015 Redistributable Update 3 from Official Microsoft Download Center

ALVRのZIPをダウンロードして展開する

今回使わせていただいたのは、下記にあったALVR-v2.0.2.zip。

github.com

(1)ダウンロードしたファイルを開いて「圧縮フォルダーツール」→「すべて展開」を押す

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(2)「展開」を押す

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ALVRを起動する

(1)ALVR.exeを起動する。

初回起動時は、ALVR\driver\driver_install.batを実行してALVRドライバをSteamVRにインストールする必要がある。SteamVRをC:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\SteamVR以外に置いている人はbatを編集して対応する。あとWindowsのユーザ名が日本語になっていると動かないことがあるようなので、その場合は英語のユーザ名で試してみよう。

(2)オレンジ色の警告が出たら「詳細情報」をクリックする。

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(3)「実行」をクリックする。

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(4) 「Start Server」をクリックする。

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ここで下記のメッセージが出たが、私は何回か繰り返し「Start Server」を押したら先に進められた。

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ここでうまくいかないケースもある模様。NVIDIAグラボのドライバを最新にする、再頒布可能パッケージを入れた後でPCを再起動する、等を試してみるとよいかも。

(5) 緑色の「Server is alive」マークが出るので、ヘッドセットでALVRクライアントを立ち上げる。

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(6) Oculus Goが見つかったら「Connect」を押す

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見つからなかったら、ファイアウォールでUDP9944番ポートが塞がれていないか、確認する。

接続できたら、広大なVR空間がOculus Go内に広がるはず。

ルームスケールセットアップ

デフォルトでは、視線の位置が床上0cmになっていて、地面に埋まって周囲を見回す形になる。 ルームスケールセットアップをすると、視線の高さを調整できるので、やっていく。

(1)SteamVRの小ウィンドウの「SteamVR▼」を押す。

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(2)「ルームセットアップを実行」を押す。

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(3) 「立位のみ」を押す。

Oculus Goは角度は検知できるけれど、前後左右の移動は検知できないので、「立位のみ」を選ぶ。

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(4)「次へ」を押す。

Oculus Goは外部センサが不要なので、トラッキングの確立は気にしなくてよい。

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(5)ヘッドセットを正面に持って「中央を測定」を押して「次へ」を押す

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(6)ここが大事。床から目までの長さをcm単位で設定する。

座ってプレイするなら110cm程度、立ってプレイするなら身長マイナス15cm程度を指定すれば大きな違和感はないと思う。指定したら、「床をキャリブレーション」を押して「次へ」を押す。

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(7)セットアップ完了。

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(8)SteamVRのHomeが表示されるので、壁のアプリ一覧にある「VRChat」を起動する。

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起動できない場合は、PCの右下のタスクトレイにあるSteamアイコンをクリックして、直接「VRChat」を起動する。

(9)VRChatをたのしむ

右手は動くけれど、現状では物を掴んだり移動することには使えないようなので、キーボードのWASDキーで移動したり、マウスクリックで物を持ったりすることが必要になる。ただ、ヘッドセットによる「入った」感は、デスクトップモードとは別種の体験になると思う。あと、2000円位の無線ゲームパッドを使ったら、キーボード+マウス+OculusGoコントローラよりは操作感が良かった。ELECOMのJC-U3912Tを使った。

www.amazon.co.jp

その他

・バグなどを見つけた場合は、公式のGithubのIssuesに、発生環境や条件などを投稿するとよいかもしれません。英語が望ましいですが、開発者のpolygrapheneさんは日本の方のようなのでたぶん伝わると思います。技術ある方は改良に協力するのも良い貢献になると思います。

Issues · polygraphene/ALVR · GitHub

・映像の遅延やブロックノイズがひどい場合、以下が効く可能性があります。外部との通信速度より、PC-Oculus間の通信遅延の方が影響が大きいと思われます。

  • PCとルータの間を有線にする
  • 無線ルータを高速なものにする。
  • ルータの11ac対応機能を有効にする
  • ルータを再起動する

・動かない、エラーが起きた、うまく動いた、などの情報は、画面等のスクショをtwitter等に投稿すると、誰かが反応してくれるかもしれません。ハッシュタグ「#ALVR」を使ってみましょう。

・Oculus Go内の画像や動画を撮りたい場合、Oculus内のメニューで「シェア」→「写真を撮る」or「録画」から取得できます。保存された動画などはFacebook投稿経由で回収するか、Goの開発者モードをOnにすればUSBケーブル経由で内部ストレージにアクセスし、「VR-Headset」→「oculus」→「Screenshots」or「VideoShots」から取ってくることができます。

開発者の方に感謝

モバイル型VR機器とPC用VRを連携させる技術は、世界でも何社も取り組んでいる激戦区です。その分野で、短期間で高品質な映像を楽しめるツールを開発してリリースされたpolygrapheneさんと協力者の皆様は偉大です。

もし面白さを感じたり、感動したりしましたら、ぜひ開発者に還元しましょう。Paypalで寄付を募っているようですがトップページのリンクは日本からは直接送金できないようなので、Paypalにログインして作者のメールアドレス宛に送金するのが良いかと思います。下記の最下部をご参照ください。

ALVR/README-ja.md at master · polygraphene/ALVR · GitHub

映像について

・冒頭の映像に出演しているモデルは、UTAU向けのフリーの音声ライブラリ「櫻歌ミコ」のキャラクターです。歌やMMDの作品が多数作られており素敵なプラットフォームです。またVRChat等でのアバター使用を許して下さっています。

miko35.info

・3Dモデルは、 キツネツキ@VR一般通行人 (@_kitsune_tsuki_) | Twitter 様が作成されたMMDモデルです。大変かわいらしく、VRChatの日本コミュニティで大人気となっており、私も使わせて頂いています。

bowlroll.net

・ワールドは、Pirai@VRChat (@p_i_r_a_i) | Twitter 様が作成されたアバターワールドです。VRChat初心者でも素敵なアバターを借りられるワールドで、雰囲気も格好良いのでVRChatで行ってみることをおすすめします。