VR普及前夜

何度でも言おう、今はVR普及前夜であると。 今の日本のVRHMDの台数は、せいぜい100万台以下のオーダーだ。VRXR開発者やVRC民は、周りはみんなVR機器を持っていると勘違いしがちだけれど、普及したとは到底言えないことを知っておくのは、悪いことではない。

jp.gamesindustry.biz

2019/10/16 03:32

いまのVRの普及度は、私達の身の回りにある情報通信機器の普及数から見ると、どの時代にあたるのか、少し振り返ってみたい。たとえば、携帯電話・PHSで言えば、加入契約数が87万台(普及率0.7%)だった平成2年度末(1991年)頃に相当するだろう。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/field/data/gt01020101.xls

2019/10/16 03:37

1991年は超小型携帯電話movaが世に出た年で、カバン型だった電話がポケットに入るようになった革新的なものだった。保証金10万、加入料4万、月額料金は1万7千円にもなった。エリートサラリーマンしか使えない、いまのVR対応PC並みの高価さだった。

http://www.hct.ecl.ntt.co.jp/panel/pdf/3_I_1_1-7.pdf

www.soumu.go.jp

image

2019/10/16 03:48

ビデオカメラで言うと、1974年に世界初の家庭用ビデオカメラが東芝から発売され、価格は30万で3%の普及。今ならハイエンド寄りのVR環境が買える値段だけど、いまのVRよりずっと売れてる。見た目はこれ。撮影に真空管を使う仕組みだった。

toshiba-mirai-kagakukan.jp

image

image

image

2019/10/16 03:53

日本のパソコンで言うと、8ビットパソコンが100万台に届かない頃で、ワープロの時代でもあった1982年頃になるだろう。日本では伝説のPC-9801が発売された頃で、最大640KBのメインメモリ、640x400の高解像度、20MBのHDD容量を誇った。これも約30万円。

ja.wikipedia.org

akiba-pc.watch.impress.co.jp

image

image

2019/10/16 04:05

普及率1%近くの新しい機器は、普及当初はだいたい10万以上するし、今から見ると原始的にも思えるけれど、これでも当時は最先端だし革新的な製品になる。技術に関心の高いお父さん世代が手を出すものだったわけだ。

2019/10/16 04:06

言うまでもないけれど、これらの機器は、今や私たちの手のひらやポケットに、はるかに性能の高い形で存在している。技術や便利さの進行は常に不可逆なもので、私達はいつでも、過去よりも便利な未来に向かって進んでいる。

2019/10/16 04:08

いまのVR機材も、普及率から見た成熟度はこれらの初期製品に相当すると思われる。未来から見たら、巨大で使いづらいものを使ってた時代もあったのだと振り返ることになるかもしれない。それでも次の時代を作ってきたのはきっと、新技術を開発し続けた人たちや、発売当初から買い支えた人達なのだろう。

2019/10/16 04:10

もちろん、時代を先取りしすぎて市場の理解が得られなかったために、打ち切りになった製品も山ほどあることだろう。けれど、格好良くて実際に役に立つ道具は、いずれはじわじわと普及率を上げていくことになる。そのために必要なことは何か、考えてみるのも一興だ。

2019/10/16 04:12

私の想像では、最初にそれらを買った人達にある種の先見性と探究心があり、実用的な利益もあり、関心を持った人の流入が止まらずに続くことが重要な気がしている。そして、VRにはそれがあるように思える。説明しづらいのだけど、静かに熱狂が広がる感じを共感できる人も居るのではないかなあ。

2019/10/16 04:14

そして私達は、たまたま見たツイートか、友人の誘いか、どこかで見かけてググったか、いろいろパターンはあると思うけれども、今の時代では狭い入口から偶然VRに関心を持って、幸か不幸か先頭の1%以下に入っているわけだ。妙な縁だけれども、私は知れてよかったと思うし、そういう人が多くいてほしい。

2019/10/16 04:15

確かに先駆者というものは、いつだって理解されないし、孤独だし、時にはいわれのない迫害をされることだってある。それでも今の先駆者たちは幸運だ。都合さえ合えば、たとえ遠く離れていても、知った人と数分で同じ部屋に降り立ち、同じ光景を見て、話すことができるからだ。

2019/10/16 04:18

これは30年前にはほぼ誰も想像できていなかったことだし、他の何かではまず実現できない便利さがある。ただ、外から見ても正直想像しづらいし、体験しないと全くわからない問題はある。だから、機材と価格と環境さえ解決すれば、一気に普及が進むと考えている。遅くとも6年以内には火が付くだろう。

2019/10/16 04:19

一部には、人口拡大すると治安が悪化したり現実世界寄りのつらさが増えるという心配もあるかもしれないけれど、私はどちらかというと楽観的にとらえている。コミュニティの大きさには自然な上限があるから、長くそこにいれば居るほど、マナーの悪いユーザの流入機会が減るためだ。

2019/10/16 04:21

たぶん大事なのは、楽しみながら無理せず近くに居続けることかなあと思う。そしていつの日かVRがもてはやされるようになったとき、なぜか慣れた手つきでVRを当たり前のように活用する人達が、先駆者をやっていた1%から出てくるに違いないと信じてる。今までの普及の歴史でも繰り返されてきたように。

2019/10/16 04:22