水槽の脳と身体性
水槽の脳
Twitterで水槽の脳に関する漫画を見かけた。事故で亡くなった恋人の脳が維持されるが、喜びと悲しみの2値しか表現できなくなる話だ。これを見て思ったことを綴る。
死んだ彼氏の脳味噌の漫画です(1/5) pic.twitter.com/pIgQBSwsrc
— Ququ (@ququmaga) July 14, 2019
意識は身体性に制約される
水槽の脳に憧れなくはないけど出力が2値なのはつらいな。どこまでの身体性ならば満足できるのかというとまずは人間と同等が目標となるのだろう。あと意識は人体というフォーマットに強く制約されていると思っていて、人の身体性を全く持たない意識は人のそれと同様であり続けることは難しいとも思う。
2019/7/15 0:22
身体演算の結果としての意識
これはシンギュラリティと義体の世が来たときの課題でもある。識閾下の自動的な反射の群れで成り立つ環境への即応性や、多重並列的なフィードバックによる恒常性の、繊細なバランスによって成り立つ、統合されたように見える演算結果が意識だとするなら、身体性と独立して在り得るものではないためだ。
2019/7/15 0:42
身体という軛と砦
ヒトより頑強で弱さのない外装と精神を持ち得る存在が、ヒトと同様の悩みを持つことはなくなるわけだ。しかし同時にヒトが持ち得ていた弱さへの共感や侵害への怖れも失う。身体という軛を解かれた精神は、同時に身体という境界や外装や免疫や弱さの知覚といった砦をも失う。
2019/7/15 1:15
制約条件の違いと相互理解
それは単なる強さの獲得だけではなくて、新たな弱さの獲得も意味するのだろうけれど、そうだとしても少なくとも、人体を制約条件とする存在と、機械を制約条件とする存在が、利害を共有したり相手の事情を互いに想像することは難しくなる。
2019/7/15 1:20
進化がもたらす差異
もしこれがゆっくり進んでいくならば、後の世代はそれを進化と呼ぶのだろう。たとえば今の人類は数万年前の人類の悩みを実感を持って知ることは困難だし、現代人が小型端末で膨大な知恵を呼びだし活用する様子は古代から見れば宇宙人や魔術師のようにも見えるだろう。
2019/7/15 1:26
進化の加速と世界の分断
しかし人類の発展が加速度的に速くなりつつなる時代には、世代間格差やデジタル格差が無視できなくなりつつあるし、同時代に生きる者の間ですら全く別の世界観を生きるのが当たり前になっていく。
2019/7/15 1:27
進化の代償と宿命
たぶん私達は、人体の制約を越える強さを選ぶのと同時に、人の弱さを知る術を失いつつあって、しかも何かを得たあとは何かを失ったことに気づかなくなるけれど、それでも進化を選ぼうとする宿命にある生物なのかもしれない。
2019/7/15 1:30
格差への抵抗、機械へのシフト
こうして進む先にも格差が生まれ得ること自体は忘れないようにしつつ、それでも良くなる方向に格差を減らすことを企図して、いずれ来る機械文明へのソフトランディングを目指していくのが人類なのだろうと思っている。
2019/7/15 1:32