VRが人と物理空間の密結合を解除する

VRの凄さは物理空間と人間との一対一の密結合を解除できるところにある。今までは人がその場にいなければならなかった事のうち、本当に身体を必要とすることと電子化できることを、別々に実現する手段になる。人や物の存在と移動を前提とした全てのシステムがVRの普及に影響を受けるのは確かだと思う。
2019/5/19 15:03

更に言えば、VRは人の意識を、人体の形と大きさから解放するものでもある。VRアバターは人のサイズと一致している必要はないし、人の形をしている必要すらない。また、アバターは物理的なものにもできる。つまり、VRは人型ロボットやそうでないロボットに人が憑依するためのインタフェースになる。
2019/5/19 18:25

ヒトのような知能を持ったロボットの開発にはまだ時間が掛かるけれど、中に人が入っているかのような、高度な動きをするマイクロマシンや巨大ロボットは、VRで実現し得るわけだ。酔いや電源など課題はあるけど、VRは人に新たな身体を獲得させる技術だといえる。
2019/5/19 18:30

VRで獲得される新たな身体は、人体より頑健で安価にできる可能性がある。人体は保守期間が数十年にも及ぶ高価な精密機械だから、VRで得られる義体は、意識をより安全な形で活用できる手段になり得る。ドローンが人を載せないことで、ヘリより小型で機動性が高く安価な空撮手段になったように。
2019/5/19 18:47

ただ、全ての人の活動をVR化できるかというとそれは難しい面がある。高度な操作ができる物理義体は高価だし、人の営みには物理的な人体の方が有利な活動も多くある。それでも、生活の何割かがVRで実現できる選択肢ができることで、生きやすさや楽しさを感じる人が増えるならば、VRは普及すると信じる。
2019/5/19 18:58

社会として見ても、物理的な人体と物体の移動を、人力で維持することを前提としたシステムは、控えめに言っても持続可能ではない状況になってきている。そして、人の実質的な存在と移動を可能にするVR技術が実用的になり、普及が始まっている。その先にある社会の形は、今後20年で大きく変わるだろう。
2019/5/19 19:06

その際に鍵になるのは、VRで実現可能な分野と、物理でやる方が良い分野をある程度きめて、どちらも破綻しないようにしつつ、できる範囲でVRを活用する方向で調整するのが良いのではないかとおもう。人の習慣や慣習はなかなか変わらないものだけど、楽しいことや便利なことはいずれは広まるものだから。
2019/5/19 19:13

補足:VRと密結合・疎結合に先に言及されていたのは、VR音響技術者のよしたかさんで、私の印象に残ったフレーズだったのを後から思い出したので、該当のツイートをここに追記しておきます。