真実が無限に自動生成され、物理層が副次化していく未来

機械学習でヌード画像を自動生成するDeepNudeが話題になったことから思ったことを綴る。

真実は容易に生成される

画像や映像に証拠価値があったのは、現実の忠実な写像の生成コストが高いためだったわけだけれど、それが機械学習によって劇的に簡単になろうとしているのだよね、面白い。真実がいくらでも自動生成されるようになる時代には、ヒトにとっての真実の意味も必然的に変容せざるを得なくなるよね。
2019/6/28 1:02

物理世界の改変・移動の難しさが減っていく

これまでの人類は、物理空間と物理身体を扱って生きるのが当たり前だった。それらは改変コストが高く、一人の意思では自由にならず、移動もそれなりに大変なものだった。これからを生きる人達は、個人で賄えるデバイスで、見える世界も使う身体も、安価に改変や転送をして使うようになっていくのだね。
2019/6/28 1:14

物理の改変困難性を前提とした共同幻想

今までの真実は、目に見えるものや触れられるものとか、それなりに信頼のできる公共媒体による写真や動画などをもとに、個人が想像の及ぶ範囲で思い描くものだった。それがある程度共通したものであると、多くの人が互いに思えたために成り立つ、ある意味で儚いものでもあったのだよね。
2019/6/28 1:22

普遍的な真実は無く、局所的なものになる

しかし機械学習VRで、見えるものや触れるものや各個人が事実と感じるものを自由に生成可能になると、その感じ方も人によって異質なものであることが常識になっていく。すると真実は、よりパーソナルで経験的で共有困難で限定的な、狭い範囲のルールを示すだけのものになっていくのかもしれない。
2019/6/28 1:30

共通体験の消滅

物理世界と物理身体の不可換性に依拠した共通体験は、今ほどの価値はなくなっていき、いずれは失われていくことになるのだろうね。
2019/6/28 2:47

地域や学校や会社など、現代の人は基本的に物理に縛られて生きている。そしてそれが共通体験の基盤となり、生活をつくり、常識を作っている。けれどこれはあくまでも現時点の計算システムの制約によるものだ。前提が変われば、経験や生活や常識のあり方も変わる。
2019/6/28 2:49

世界の並列化と物理層の副次化

いまは多くの人が人生の大部分を費やしていて、不変で唯一の価値を持つと思っている物理レイヤは、遠くない未来には、無数の並行世界の一側面としての価値を持つに過ぎなくなる。
2019/6/28 2:54

夢物語が、常識を変える

夢物語だと思うだろうか。もしそうなら、そう遠くない昔を、少し振り返ってみると良いかもしれない。インターネット以前のパソ通時代にはWWWは夢物語だった。ガラケー時代にもスマートフォンなんて夢物語だった。いつだって、次の世代の常識は前の人達には夢物語と呼ばれる。これまでも、これからも。
2019/6/28 2:56

そして、世に溢れる夢物語の中で、誰かに強く響いたものが選び取られて、次の本流になっていく。そうなった頃には、少し前の常識が、どこか懐古の色味を帯びる。だから、少し先の未来の目で今を見る習慣が、さらに重要になっていく。変わらないものはない、そのことはおそらく変わらないのだと思う。
2019/6/28 2:59